目の前に横たわっているのは、つい今しがたまで喘いでいた少女。
余所者というのは皆そうなのだろうか。知り合ってからかなり経ったにもかかわらず未だに私を飽きさせない稀有な存在。 しかも、相変わらず私に屈せずどこか反抗的。本気で嫌がる様子なわけではないが従順なわけでもない。 そこがおもしろいところであり、また苛立たしいところでもあるのだが…… まだ埋まったままだった自身を気を失った少女から抜き出す。それに合わせて彼女の中から白濁がゴポリと音をたてこぼれ出した 。 暗い優越感に浸っていた。 いくら昔の恋人を思い出そうが懐かしもうが、その昔を含めても彼女を一番汚しているのは私 。 実のところ彼女が処女だったことには驚いた。付き合っていたと聞いたのと、実際に押し倒したときの態度ですくなくとも一度は抱かれていると思ったのだが…… ところがきつくて狭くて彼女が初めてであることは指を入れてすぐに分かった。 だが………、いやだからこそ進んで汚した 。 初めはただの興味本意。 余所者がどんな反応をするのか気になったし、他の女と何か違うのか興味があった。だが本当は…………自分を見ながら他人を見ていることに我慢できなかったからなのかもしれない。 この顔を見て“私”だけを見るようにさせたかった。 汗で顔に張り付いた髪を払ってやり、彼女の身体を見下ろす。身体のあちらこちらにも紅い華が散っている。 自分でも思わず付けてしまったのはついこの前。左胸にたった一つだけなのにとても存在を主張していた。 心臓があるところに付けてしまうなんてなんて皮肉。気付いたときは自分が彼女に執着している証拠を見せつけられたように感じ、衝撃を受け逃げるように部屋を去った。 だが最近では、進んで痕を残すようになっている 。 自分から女に痕を付けるなんて、今までしたことがない。 これまで女を抱いてきたのはどれも暇潰しで、退屈をまぎらわせる為以外の何物でもなかった。 だが今私が彼女を抱くのは、恐らくもうただの暇潰しだからではなくなっているの だろう。 今ならまだ抜け出すことができるかもしれない。だが、行けるとこまで行くのも面白いかもしれないと思い始めている。そう思うとこからしてもう囚われている 。 面倒は嫌いなはずなのに、なぜか彼女にかまうのはとても楽しい。退屈が溢れかえったこの世界で、紅茶よりも私を満足させる存在 。 『恋は落ちるもの』 少し前に彼女に言った言葉がまさか自分にはねかえってこようとは、誰が予想できただろうか。 しかもブラッド=デュプレともあろうものが、だ。 自嘲的に笑うが、彼女を眺めることをやめることができない。眠っているというのに私を拒絶するようにひそめられた眉に目がいく。 「落ちないのならば堕とすまでのこと。決して這い上がることのできないところまで君を連れていってあげよう」 さぁ、新しいゲームの開幕だ。 (………何があってもどんな手を使っても、私に負ける気はないが、な。) 矛盾する気持ちに戻る |